第23回 戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会要項

    ~戦争遺跡の保存活用と地域をつなぐ平和活動~

[主催] 

第23回戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会実行委員会

戦争遺跡保存全国ネットワーク

 

[後援]  ※すべて予定です

熊本県       熊本県教育委員会

熊本市       熊本市教育委員会

熊本日日新聞社   RKK熊本放送

JCN熊本ケーブルネットワーク株式会社

 

1 大会趣旨
 熊本は九州の中央部に位置し1871年鎮西鎮台の設置以降、熊本鎮台へ、1888年には対外戦争を想定した第六師団創設となり、熊本城を核として地域のなかに「軍都熊本」が形成されました。
 1877年、国内最後の内戦である「西南戦争」では熊本城をはじめ、田原坂・高瀬・八代・人吉芦北・水俣等と、県内各地で戦闘が繰りひろげられました。熊本市北区植木町・玉名郡玉東町に残された官軍墓地や戦闘地域等は国史跡「西南戦争遺跡群」として指定され、近現代遺跡・戦争遺跡の調査保存や資料館展示を通し、行政民間が一体となってその活用が進められています。

 

 いっぽう太平洋戦争については、戦後50年の節目以降も、各地での平和展の開催や戦時体験を綴った記録・証言集、戦争世代から平和を願っての子ども達への文集が刊行されてきました。戦後60年以降は、県内各地に残された太平洋戦争期の戦争遺跡の調査・研究や保存活動を行い、合わせて航空遺産をはじめとする戦時資料の調査や展示活動等を通して、「戦争の記憶を語り継ぎ、平和の大切さを学ぶ活動」が進んできました。
 この活動は熊本・八代・玉名・菊池・荒尾・人吉球磨・合志地域へとひろがり、連絡会議「戦争遺産フォーラムくまもと」として、戦後70年「平和のバトン展」での地域展示や「米軍資料から見た熊本空襲」講演会開催へとつながりました。そして地域に残された戦争遺跡に多くの方々の証言を重ね、平和を学び継承していく活動へと広がり、遺跡の一部は文化財としての保存が実現するなど活動が実を結んできています。

 

 平成28年熊本を襲った未曽有の地震災害に直面し、隈庄飛行場油倉庫等の記録保存をはじめ、他の被害戦争遺跡・遺物の被災レスキュー活動等を進めるなかで、全国の皆様方にご支援をいただき、改めて全国との連携の大切さを知ることとなりました。
 今回、熊本で初となる本シンポジウムの開催にあたり、全国の戦争遺跡の現状や課題を明らかにしていきます。また県民運動として熊本に「戦争と平和のミュージアム」設立をめざし、平和博物館活動等を進めておられる全国の皆様方と交流を深め、地域でつなぐ新たな平和活動として前進したいと願っています。
 「平成28年熊本地震」から復興しつつある熊本の姿を肌で感じていただき、さらなる「心の支援」の深まりを願い、当地熊本で全国大会を開催いたします。

    

2 開催期日 

         2019年8月24日(土曜日)~8月25日(日曜日)     月26日(月)は、現地見学会

 

3 会場 

       熊本市国際交流会館   熊本市中央区花畑4-1
            (TEL 096-359-2020   http://www.kumamoto-if.or.jp/  )
                 □JR熊本駅より
           熊本市電で約15分、花畑町下車、徒歩3分
            都市バス、九州産交バス等で約10分、交通センター下車、徒歩約3分
           タクシーで約10分
        □熊本空港より
           車で約45分
           九州産交空港リムジンバスで約45分、交通センター下車、徒歩約3分
        □九州自動車道
            熊本インターチェンジより車で約30分
             益城熊本空港インターチェンジより車で約30分

4 日程と内容


8月24日  
(1)全体会  「国際交流会館ホール」6・7階(230人定員)

  12時00分  受付

  13時00分  開会
   □主催者挨拶  堀浩太郎熊本大会実行委員長

   □記念講演

      「熊本城と軍都熊本」    大阪大学名誉教授  猪飼隆明 氏

福井県越前市出身

熊本大学文学部教授   大阪大学文学部教授

2007年定年退官 大阪大学名誉教授

 

著書
『西郷隆盛-西南戦争への道』岩波新書1992

『西南戦争-戦争の大義と動員される民衆-』 吉川弘文館 2008

『ハンナ・リデルと回春病院』 熊本出版文化会館 2005


   □ブレイクタイム 
   □基調報告  戦争遺跡保存全国ネットワーク共同代表 出原恵三
   □地域発表    くまもと戦争遺跡・文化遺産ネットワーク 他 1本程度
   □閉会挨拶
    15時50分~ 会員総会
    16時30分~ 分科会打合せ(報告者・運営委員)  ※17時会場閉鎖
(2)全国交流集会
   □会場   KKRホテル熊本 「有明・不知火の間」
          熊本市中央区千葉城町3-31 TEL096-355-0121
                         http://www.kkr-hoteru-kumamoto.com/
   □時間   受付 17時30分  交流会 18時~20時頃
   □会費   6,000円

 

8月25日  分科会、閉会集会  会場 熊本市国際交流センター

  8時30分~        受付
    9時00分~15時00分  分科会   
        

   □第1分科会「保存運動の現状と課題」    第3会議室・4階(81人)
   □第2分科会「調査の方法と整備技術」    第1会議室・4階(45人)
   □第3分科会「平和博物館と次世代への継承」 大広間A・B・4階(104人)

        報告を希望される方(会員に限ります)は「分科会レポート発表申込書」を戦跡ネット事務局(きぼうの家)にお送り下さい。

      

    15時10分~16時00分  閉会集会
      □分科会報告
   □大会アピール文採択
   □閉会挨拶


 〇図書交換会 
 8月25日10時~14時まで  第2会議室・5階

 交換会での希望書籍は、「書籍交換会希望用紙」を別途提出のうえ、現物書籍は「8月23日の期日指定」として、「熊本市国際交流会館(〒860-0806・熊本市中央区花畑4-1)内の熊本大会実行委員会気付」でお送りください。

 

5 現地見学会  8月26日(月)   ※熊本市民会館前(本大会会場の通り前)より乗車・降車予定。
(1)見学会コース   
  □熊本市内・近隣の戦争遺跡等を中心に午前1コース、終日1コースを設定しています。
  □定員になり次第締め切ります。両コースとも最小催行人数30人で、人数に達しない場合は中止し、代金を返金させていただきます。
  □西南戦争期に関する「田原坂資料館」他の見学希望の方は、このページの文末資料等を基に各自でご手配ください。

    なお、大会当日受付にて、年刊『田原坂』『飛び出す西南戦争MAP』等の啓発資料を準備します。

 

Aコース「熊本市内の戦跡をめぐる」(8時半~12時半頃)  ※個人名簿一覧提出 予価2,500円
 熊本空襲慰霊碑(※車窓にて)、旧歩兵第十三聯隊食堂(現熊本学園大学第2体育館)、第十三聯隊正門・軍用道路、三菱熊本航空機製作所第一組立工場(現西部方面総監部九州補給支処)、義烈空挺隊慰霊碑、陸上自衛隊戦史資料室  
 Aコース希望の方は、陸上自衛隊施設内の三菱熊本航空機製作所工場等を見学しますので、氏名・年齢・住所を申請書に記載します。申請書提出をご了解いただける方のみ見学可能です。なお、直前の参加希望は受付できません。

 

Bコース「菊池飛行場と黒石原奉安殿をめぐる」(8時半~15時頃)  ※昼弁当込み  予価3,800円
 旧陸軍傷痍軍人療養所再春荘内の空襲慰霊碑「留魂碑」、旧逓信省熊本航空機乗員養成所奉安殿、菊池飛行場ミュージアム、旧陸軍菊池飛行場内戦争遺構(給水塔・油倉庫・格納庫) ※活動報告・昼食:泗水公民館大研修室

 

6 参加費など
  □参加費     一般2,000円(1日参加1,000円)  大学(院)生  1,000円(1日参加500円)   ※高校生以下無料
  □昼食弁当代  800円(8月25日分、お茶付き)
  □見学会     Aコース:2,500円   Bコース(昼弁当付き):3,800円

 

7 ご宿泊
    宿泊場所については、実行委員会では斡旋しません。会場の桜町・上通・下通周辺には多く のビジネスホテル等があります。同封の観光案内等を参考に、予め各自で手配ください。

 

8 図書交換会
 交換会での希望書籍は、「書籍交換会希望用紙」を別途提出のうえ、現物書籍は「8月23日の期日指定」として、「熊本市国際交流会館(〒860-0806・熊本市中央区花畑4-1)内の熊本大会実行委員会気付」でお送りください。

 

9 お申込み先 
 当日の一般参加も可能ですが、できるだけ事前申込をお願いします。くまもと戦争遺跡・文化遺産ネットワーク事務局髙谷和生宛に、「参加申込書」をご記入のうえ、同封・添付して、郵便もしくはメールでお申し込みください。
   □郵送は、「〒865-0061 熊本県玉名市立願寺126-5 髙谷和生」宛
   □メールは、「23rd_kumamoto-symposium@googlegroups.com」宛
   □お問い合わせの電話 090-1513-5528(髙谷携帯)
   □参加費払込先   「ゆうちょ銀行 大浜郵便局  01750-1-67112  くまもと戦争遺跡・文化遺産ネットワーク」

 

10 準備状況・大会要項他
  □第23回戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会に関する準備状況は、くまもと戦跡ネットを参照してください。
  □大会要項・申込用紙等は、くまもと戦跡ネットHP内の熊本大会バナーからも取得できます。

  □田原坂資料館など、西南戦争関連の見学をされる方は以下のデータをご活用下さい。

ダウンロード
田原坂西南戦争資料館案内.pdf
PDFファイル 1'019.7 KB
ダウンロード
くまもと周遊タクシー.pdf
PDFファイル 2.9 MB

第23回 戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会開催!

 2019年8月24日(土)~26日(月)に戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会が開催されました。

 完璧な大会運営をして頂いた高谷事務局長をはじめ現地の皆さま、本当にありがとうございました。

 来年の第24回大会は東京都東大和市です。市民と行政が連携されている素晴らしい取り組みに学びましょう。

基調報告(出原恵三・共同代表)
基調報告(出原恵三・共同代表)
ダウンロード
基調報告(出原恵三・共同代表).pdf
PDFファイル 594.1 KB

 大会にはサプライズゲストとして、知事より忙しいと言われるくまモンが来てくれて、会場を盛り上げてくれました。

コピーライトマーク2010熊本県くまモン

主催者挨拶(堀 浩太郎・実行委員長)
主催者挨拶(堀 浩太郎・実行委員長)
地域報告(高谷和生・現地事務局長)
地域報告(高谷和生・現地事務局長)
ダウンロード
地域報告(高谷和生・現地事務局長)
熊本大会地域報告・熊本の現状と震災からの復興:7/9版.pdf
PDFファイル 162.2 KB
全体会閉会挨拶(十菱駿武・共同代表)
全体会閉会挨拶(十菱駿武・共同代表)
記念講演「熊本城と軍都熊本」(猪飼隆明さん)
記念講演「熊本城と軍都熊本」(猪飼隆明さん)
閉会集会
閉会集会

全体会に参加された皆さんが、くまモンと一緒に記念写真を撮りました。

いつもと年齢層の違う方たちに囲まれて、くまモンもビックリしていたかも知れませんね。


コピーライトマーク2010熊本県くまモン


大会アピール

「戦争遺跡を保存活用し地域に根ざした平和活動の前進を」

  2019年8月24・25・26日、熊本市国際交流会館を会場に、延べ350名の参加の下で第23回戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会が開かれました。大会の開催にあたり、ご後援いただいた熊本県、熊本県教育委員会、熊本市、熊本市教育委員会、報道各社、ならびに関係諸団体に対し心より感謝申しあげます。
 開催地となった熊本は、1871(明治4)年の鎮西鎮台の設置に始まり、熊本鎮台、第六師団と名称を変えながら、軍都としての歴史を刻んできました。また、国内での最後の内戦となった1877(明治10)年の西南戦争では熊本城を中心に県内各地で激しい戦闘が繰りひろげられました。こうした西南戦争に関わる戦争遺跡は、「西南戦争遺跡群」として国史跡に指定されているほか、各地の官軍墓地などが県や市町村の指定を受け、その数は14件に上ります。アジア太平洋戦争期については700件を超える戦争遺跡の存在が明らかになっていますが、文化財指定を受けたものは「花房飛行場給水塔」(菊池市指定有形文化財)、「永山の掩体壕」(あさぎり町登録文化財)の2件と、合志市による指定が進められている「黒石原飛行場奉安殿」にとどまっています。県内各地に建設された多くの陸海軍飛行場、砲台、「震洋」などの特攻艇基地の存在は、九州における本土決戦態勢のあり方を物語る重要な戦争遺跡です。これらを含め未指定の戦争遺跡についても早期に調査・保存・指定がおこなわれるよう、熊本県をはじめ関係自治体に要望いたします。
2016(平成28)年の熊本地震では多くの文化財が被災し、隈庄飛行場油倉庫などのように解体を余儀なくされる戦争遺跡も現れました。市民による懸命な「戦争遺跡・戦時資料レスキュー」の事業が展開され成果をあげましたが、多発する自然災害から文化財や戦争遺跡をどう守るのか、私たちに新たな課題と教訓が与えられました。いま熊本県内では、「戦争と平和のミュージアム」を設立し「地域をつなぐ平和活動」を広げようという運動が広がっています。戦争遺跡を通じて戦争の真実を伝え、真の平和を創造する力とするため、こうした県内の取り組みが更に前進することを切望するものです。

 

 史跡・文化財として指定・登録された戦争遺跡は、2019年8月現在296件を数えました。マスメディアも戦争遺跡に注目し大きく取り上げています。全国シンポジウムが初めて開催された1997年にはわずか数件であったことからすると、20年余の間に戦争遺跡保存の意義が広く国民に認められてきたことは明らかです。また、沖縄県、愛知県、滋賀県、福岡県などで独自に精密な遺跡分布調査が実施されたことは大きな前進と言えます。敗戦から74年が経過し戦争体験者は人口の数パーセントへと急減するなかで、「語り部」としての戦争遺跡が果たす役割はますます大きくなっており、戦争遺跡を消滅・改変の危機から救うことは、国民的な急務となっています。都道府県や各自治体においては、こうした施策にならい戦争遺跡の所在調査と保存、史跡・文化財への指定を進めるよう求めるものです。文化庁の『近代遺跡調査報告書⑨(政治・軍事)』は、沖縄戦に関わる記述をめぐって政治的な圧力が加えられたことで、発刊の見通しが立たないまま14年が経過しました。私たちは文化庁に対し、政治的な圧力を排し、客観的、科学的な内容に基づく報告書を一日も早く刊行することを、引き続き強く求めます。

 

 戦争遺跡への関心が高まりを見せている一方で、近年、その保存のあり方や活用方法などをめぐって、多くの課題や問題点が指摘されています。旧日本軍の顕彰を目的とするような「軍事博物館」的資料館、戦争遺跡が形成された過程や歴史的背景を無視し戦争の一面のみを切り取って美化したり肯定的に描き出す手法、また戦争遺跡の解説文において加害の文言が削除されたり、事実を歪曲・捏造する表現が用いられるなどの例が数多くあげられます。このような行為は、戦争遺跡の持つ資料的価値、評価を著しく低下させるものです。戦争遺跡の保存と活用の目的は、加害・被害・抵抗の側面から戦争の実相と悲惨さを次世代に伝え「誤った戦争を何故おこしてしまったのか」ということを想起させることにあり、同時に東アジアの歴史の中に位置付けられ共有されうるものでなければならないと思います。
平和憲法の危機が叫ばれるいまこそ、平和な世界の実現に向けて奮闘するすべての人々と手をつないで私たちの運動を進めることを確認し、大会アピールとします。

                                                                              
              2019年8月25日 第23回戦争遺跡保存全国シンポジウム 熊本大会

 

 

 「熊本大会アピールについての経過・補足」

全国ネットワーク事務局長 幅国洋

 

  昨年度の豊川大会のアピールでは、戦争の美化や集客目的での戦争遺跡の利用といった「憂慮すべき傾向」を、具体的な自治体や資料館などの名前を挙げて指摘しましたが、その後このアピールを誹謗するブログがインターネット上に流れていたことがわかりました。趣旨はこのアピールが「一部の意見」に過ぎないものであるというもので、ブログ筆者が後援した自治体に対してアピールの内容についての見解を問うたことも紹介されていました。
   運営委員会は、アピール文の文責を負う全国ネットに対しては直接の問い合わせもないまま、後援自治体に対し非難めいた問い合わせをおこなったことは、戦争遺跡保存運動を中傷し委縮させる意図を持ったものであると考えます。
  今年度、熊本大会でのアピールを巡っては、数度にわたり運営委員会と現地実行委員会の会合を持ち慎重に検討しました。要点は、昨年のように固有名詞を記載するか否かにありました。議論を重ねた結果、①旧軍を顕彰するような資料館や、戦争遺跡を美化する傾向は昨年名前をあげて指摘した二つの自治体にとどまるものでなく、問題点が指摘されている全ての資料館等の名前を挙げることは不可能である。②アピールで指摘するだけでなく、個別の資料館等への申し入れや働きかけをネットワークの活動として取り組むことがより重要である。③昨年のアピールの趣旨から後退するものではないが、無用な混乱を避けるために個別の自治体名や資料館などの記載はしない。④この間の経過、アピールの趣旨を閉会集会で参加者に伝え了解を得るとともに、全国ネットのホームページ等でもコメントする。

  以上の諸点を確認して最終案とし、閉会集会で決議されたことをご報告します。


事務局連絡先                    
 第23回戦争遺跡保存全国シンポジウム熊本大会実行委員会 
     事務局長  髙谷 和生(たかたに かずお)
  □〒865-0061 熊本県玉名市立願寺126-5
  □携帯     090-1513-528
  □メールアドレス takayanagi912@yahoo.co.jp
    くまもと戦跡ネットHP https://kumamoto-senseki.net/