第24回戦争遺跡保存全国シンポジウム  東京・東大和大会

10月2日(土)~3日(日)オンライン開催

東大和市指定文化財 旧日立航空機(株)変電所
東大和市指定文化財 旧日立航空機(株)変電所

10月2日(土) 全体会(10時~12時、13時~14時半予定)

主催者挨拶(東大和大会実行委員長 小須田 廣利さん)

歓迎挨拶(東大和市長 尾崎 保夫さん )

基調講演

「戦争の記憶から記録へ」(人間文化研究機構国文学研究資料館・加藤聖文さん)

昼食休憩(12時~13時)

基調報告(戦争遺跡保存全国ネットワーク共同代表 出原 恵三さん)

地域報告

「多摩地域の戦争遺跡」(浅川地下壕の保存をすすめる会 齋藤 勉さん)

「大規模修繕後の旧日立航空機変電所の紹介」(東大和・戦災変電所を保存する会)

閉会挨拶戦争遺跡保存全国ネットワーク事務局長 幅 国洋

10月3日(日)分科会(10時~12時、13時~15時半)

 今年は3つの分科会を一緒にオンラインで開催します。

 報告は次の8本です。報告内容と予定時間は以下の通りです。

①保存運動の現状と課題

「山梨県の戦争遺跡と朝鮮人労働者の動員」( 鮎沢 譲さん) 10:02~10:30

「本土決戦準備期における湘南~二宮・大磯・鎌倉の戦争遺跡の現状」(中田 均さん) 10:32~11:00

「海軍山陰航空隊大社基地跡の現況と今日までの保存活動」(西尾 良一さん) 11:02~11:30

②調査の方法と整備技術

「横須賀海軍航空隊茅ヶ崎派遣隊のレーダー基地」(工藤 洋三さん) 11:32~12:00

「九州における遥拝遺構と熊本県の現況」(高谷 和生さん) 13:02~13:30

「松本市里山辺地下壕の入口の崩壊と修復、および内部構造・地質」(平川 豊志さん) 13:32~14:00

③平和博物館と次世代への継承

「東京裁判開廷75周年を迎えて-東京裁判の〈遺産〉を継承する-」(春日 恒男さん) 14:02~14:30

「〔PTSDの日本兵と家族の交流館〕がめざすこと」(黒井 秋夫さん) 14:32~15:00

〇分科会まとめ、諸連絡(15分)

 

 現地見学会や懇親会は実施しません。会員総会は書面決議になります。

 大会の概要は右のページをご覧下さい。

ダウンロード
東大和大会の概要
大会概要.pdf
PDFファイル 442.5 KB

分科会に参加される方へのお願い

 戦争遺跡保存全国シンポジウムとして初めてのオンライン開催です。

 いろいろ不行き届きの面があるかも知れませんが、ご容赦をお願い致します。

 また、分科会に参加される方には次のことをお願いします。

①URLで入室されても、申し込みチェックのために、しばらく入室に時間がかかりますのでお待ち下さい。お早目の入室をお願いします。

②入室チェックのトラブルを避けるために、必ずお申し込み時のアドレスとお名前で入室下さい。

参加者のお名前はフルネームでお願いします。ニックネームやお名前のみの場合などは変更して下さい。

分科会ではマイクとビデオはオフにして下さい。司会者が許可した時だけオンにして下さい。

    (③④が守られない場合は、運営や司会で操作・変更する場合がありますのでご了承下さい)

⑤今大会は時間の都合で、報告者への質問はチャットでお願いします。

⑥分科会の録音・録画や画面の撮影(スクリーンショット)はご遠慮下さい。

⑦運営委員会で全体会と分科会の録画を行ないます。お名前等が録画されることがありますのでご了承下さい。

⑧不規則発言や誹謗中傷のチャットなど、会の趣旨や進行の妨げになると判断した場合は退室措置を取りますのでご容赦下さい。

大会報告集が完成しました!

旧日立航空機立川工場変電所(報告集より)
旧日立航空機立川工場変電所(報告集より)

 2021年10月2日(土)~3日(日)に開催された第24回戦争遺跡保存全国シンポジウム東大和大会。初めてのオンライン開催で不安もありましたが、現地実行委員会のご尽力のおかげで充実した大会になりました。分科会に報告される方や司会・事務局も何度かのリハーサルを経て、スムーズな進行ができました。

 現地実行委員会のお力で、たくさんの資料をデータとして頂けたのは、従来の大会にはなかったことで、オンライン大会の良さも感じました。

 皆さまのご協力に感謝いたします。 

 オンラインのため参加できなかった方のために、現地実行委員会の方が中心となって大会報告集を作成しました。

 下のPDFデータをダウンロードしてご覧下さい。

 目次は全体会版の最初に、大会アピールは分科会版の最後にあります。

ダウンロード
大会報告集全体会.pdf
PDFファイル 6.0 MB
ダウンロード
大会報告集分科会.pdf
PDFファイル 3.5 MB

大会アピール

「戦争遺跡を活用し平和の思いを伝えよう

                 ~戦争被害者・加害者にならないために~」 

 2021年10月2・3日、東京都東大和市を発信地として、延べ200名が参加して第24回戦争遺跡保存全国シンポジウム東京東大和大会が開かれました。当初2020年夏に計画された東大和大会は、コロナ禍にあって1年間の延期を余儀なくされ、さらに感染の拡大が続く中でオンラインでの開催を余儀なくされました。こうした厳しい条件下にあって、シンポジウム開催にご尽力いただいたみなさま、また東大和市・東大和市教育委員会さまをはじめご後援をいただいたみなさまに対し、心より感謝申しあげます。

 東京の西部に広がる田園地帯だった多摩地方は、陸軍飛行第五大隊が立川に移転し立川飛行場が開設された1922(大正11)年以降、多摩飛行場、調布飛行場をはじめとする陸軍関連施設の移転が相次ぎ、さらに立川飛行機・中島飛行機武蔵製作所・昭和飛行機東京製作所・日立航空機立川発動機製作所の航空機工場を中心とした軍需工場がこの地域に進出したことで1940(昭和15)年前後にかけて急速に発展しました。多摩地方は、アジア太平洋戦争遂行のためのバックヤードとしての役割を負わされたのです。戦争末期にはこうした軍施設、軍需工場を標的にした米軍機の空襲がおこなわれ、多くの犠牲をうみました。戦争の傷跡が各地に残る多摩地方では、八王子市の浅川地下壕、調布飛行場掩体壕(府中市、三鷹市)、武蔵野の空襲などを調査し保存する取り組みが進められてきました。なかでも東大和市の「旧日立航空機立川発動機製作所(立川工場)」に残された「戦災変電所」は、米軍機の銃撃痕を鮮明に残す重要な戦争遺跡です。この遺構は市民の熱心な保存運動が実を結び、工場跡地に造られた都立公園内に保存されました。1995年に東大和市の指定文化財となり、修復・補強工事がおこなわれて保存のための努力が重ねられています。この補強工事では「平和への熱い思いの共有」を返礼品とする、ユニークな「ふるさと納税」が財源にあてられました。敗戦から76年が経過し戦争体験者が急減するなかで、「社会が共有すべき歴史の証言者」として戦争遺跡が果たす役割はますます大きくなっています。戦災変電所を「国民の財産」として位置づけ、未来に継承しようという東大和市の取り組みは戦争遺跡保存の意義を体現したものであり、市の積極的な姿勢に敬意を表するものです。

 

 史跡・文化財として指定・登録された戦争遺跡は、2021年8月現在319件が確認され、マスメディアも戦争遺跡に注目し大きく取り上げています。全国シンポジウムが初めて開催された1997年の数件から、四半世紀を過ぎて戦争遺跡保存の意義が広く国民に認められてきた結果といえます。

 一方で戦争遺跡保存をめぐっては、多くの憂慮すべき事態が進行しています。文化庁の『近代遺跡調査報告書⑨(政治・軍事)』は、沖縄戦をめぐる記述を口実にした政府の圧力を受け予定から15年以上も経過しながら刊行されていません。私たちは文化庁に対し、政治的な圧力を排し、客観的、科学的な内容に基づく報告書を一日も早く刊行することを求めます。この間、沖縄県に続いて福岡県でも戦争遺跡の悉皆調査がおこなわれ報告書が刊行されました。地方自治体にあってはこうした優れた実践にならって、文化庁の後ろ向きの姿勢に便乗することなく独自の調査や史跡・文化財指定を進めるよう求めます。

 戦争遺跡の保存・活用のあり方をめぐっては旧日本軍の顕彰を目的とするような「軍事博物館」的な資料館、加害の側面を覆い隠し戦争の一面のみを切り取って美化する手法などの例が数多くあげられます。このことは、世界文化遺産に登録された長崎県端島炭鉱における朝鮮人労働者についての説明の欠如、教科書から「従軍慰安婦」の「従軍」を削除することを求めた閣議決定、韓国での「徴用工裁判」への対応など、日本政府の歴史問題に対する不誠実な姿勢と通ずるものです。世界的には、侵略や植民地支配の責任を数百年前に遡って追及することも行われています。今求められているのは、日本がおこなった戦争の加害と侵略の歴史に真摯に向き合うことではないでしょうか。

 この2年間に戦争遺跡の改変、消滅の危機は一層増しています。全国ネットワークでは、広島市旧陸軍被服支廠倉庫、広島市サッカースタジアム建設予定地の旧陸軍の被爆遺構、島根県出雲市旧大社基地、沖縄県那覇市首里城地下の沖縄守備軍司令部豪の保存などについて、要請や署名活動に取り組んできました。まさに戦争遺跡保存の課題はまったなしの状況です。憲法と平和の危機が現実のものになりつつあるいま、戦争遺跡を保存・活用し次世代に継承していくことは、戦争に反対し平和な世界の実現に向けて奮闘するすべての人々とつながる営みであると確信し、私たちの運動をさらに前進させることを誓って大会アピールとします。

 

2021年10月3日 第24回戦争遺跡保存全国シンポジウム 東京東大和大会